食材のスカウトが簡単解説不思議な世界

誰でもわかる 生物学的に美味しいと感じる味覚 Topic.1

「うま味」の食文化。世界の「UMAMI」

世界中で何気なく使われていたうま味

「うま味」は 現在、「umami」として 欧米など世界共通の用語として使われています。


日本の学者は「ダシがきいていない」という味覚は塩味や酸味が足りないのとは違う感覚であることを経験的に知っており、うま味の存在に早くから気づいていました。


日本料理や中華料理といった東アジア料理や、ベトナム料理・タイ料理といった東南アジア料理において、うま味はきわめて重要な味です。中華料理でも、うま味のことを「鮮味」(シエンウェイ)と呼び、これらの文化圏では、うま味を凝縮 した魚醤・穀醤を基礎的な調味料として盛んに使い、また魚介類の煮汁を出汁として用いています。西洋では、フランス料理におけるフォン・ブイヨン・コンソメのように出汁によって、うま味を増す料理法も一部存在してはいましたが、多くの料理は、グルタミン酸を豊富に含むトマトや、チーズのような酸味等が強い食材 によって うま味 を 補給 したり、 肉料理においては、肉の煮汁自体がうま味の供給源となっています。


うま味物質は、たんぱく質や核酸に富んだ細胞の原形質成分に多く含まれていて、うま味は、主にたんぱく質の豊富な食物を探知することに適応して発達 した味覚であると考えられています。

うま味を含んでいる主な食べ物とは

代表的なうま味成分のうち、アミノ酸の一種であるグルタミン酸は植物に多く含まれ、核酸の一種であるイノシン酸は動物 に多く含まれることが 多い成分です。イノシン酸等うま味を感じさせるヌクレオチドは、呈味性ヌクレオチドと言い、うま味調味料やスープ 原料などとして使用 され、アミノ酸 系のうま味成分と核酸系のうま味成分が、食品中に混在することにより、うま味が増すことが知られています。これを「うま味の相乗効果」と呼びます。日本料理では、実際に昆布の出汁と鰹の出汁を合わせるといった調理が行われ、中華料理でもシイタケと鶏がらスープを合わせるといった調理が行われています。


その他、食用のハエトリシメジに含まれるトリコロミン酸、貝類に含まれるコハク酸やコハク酸ナトリウムにも、強いうま味があり、またレモンに含まれるクエン酸やリンゴに含まれるリンゴ酸等の果実酸類には、他の食品のうま味を高める作用があることで知られています。 

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